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帯状疱疹について

初期症状は皮膚の痛みやかゆみ、
その後に発疹(ほっしん)や水ぶくれ(水疱:すいほう)が帯状に現れます

帯状疱疹の症状には個人差がありますが、多くは、はじめに皮膚に神経痛のような痛みが起こります。痛みは、皮膚の違和感やかゆみ、しびれとして感じる程度から、ピリピリ、ズキズキ、チクチク、針で刺されたような痛みや、焼けるような痛みまで様々です。その後、水ぶくれを伴う赤い発疹が帯状に現れ、徐々に痛みが強くなり、眠れないほど痛むこともあります。強い痛みや皮膚の症状は、主に体の左右のどちらかにみられ、3~4週間ほど続きます。

 

帯状疱疹の発症する体の部位

症状は、神経の流れに沿って現れることから、主に体の左右のどちらかに帯状にみられます。主に腕や胸、背中など、多くは上半身にみられ、顔や首など外見が気になるところに現れることもあります。

帯状疱疹は、上肢から胸背部に31.2%、顔面や頭部に17.6%も発症

石川博康 他. 日皮会誌. 2003; 113(8): 1229-1239. より改変

帯状疱疹はひどくなる前に治療を始めることが重要です

帯状疱疹の発疹(ほっしん)や水ぶくれ(水疱:すいほう)などは治療を行わなくても治る場合もありますが、治療が遅くなったり治療されないまま放置されると、頭痛や39℃以上の発熱などの全身症状が現れることもあります。 特に首から上の帯状疱疹は、重症の場合、失明や顔面麻痺、難聴を引き起こすことがあります。発疹が消えた後も痛みが残ることがあるため、できる限り早く医療機関を受診し治療を始めることが重要です。

治療の中心は抗ウイルス薬です

帯状疱疹の治療の中心は、水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬です。発疹(ほっしん)が出てから72時間以内に飲みはじめることが望ましいといわれています。しかし、発疹が出てから2日以内に医療機関を受診する患者さんは少ないのが現状です。発疹に気がついたらできる限り早く受診しましょう。抗ウイルス薬を飲むことで体内のウイルスの数が減少すれば、症状は次第に軽減します。効果が得られないからと勝手に服用をやめたりせず、指示されたとおりにお薬を飲むことが重要です。痛みが強い場合は痛みを抑える鎮痛薬や抗うつ薬を同時に使うこともあります。

帯状疱疹の原因は水ぼうそうと同じウイルスです

帯状疱疹は、体内の水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスが活動を再開することで発症します。
主に子どもの頃に、このウイルスにはじめて感染すると、水ぼうそうを発症します。そして、水ぼうそうが治った後も、ウイルスは脊髄から出る神経節という部位に潜んでいます。普段は体の免疫力によってウイルスの活動が抑えられているため発症することはありませんが、免疫力が低下するとウイルスは再び活動、増殖しはじめます。そして、ウイルスは神経の流れに沿って神経節から皮膚へと移動し、帯状に痛みや発疹(ほっしん)が出る帯状疱疹を発症します。

帯状疱疹になるしくみ

  1. 水ぼうそう
    (水痘)

    水ぼうそう(水痘)
    はじめて感染した時は
    水ぼうそうとして
    発症します
  2. 潜伏感染

    潜伏感染
    治った後もウイルスは
    長い間体内に潜んでおり、
    普段は免疫力によって
    活動が抑えられています
  3. 免疫力低下

    免疫力低下
    加齢やストレスなどで
    免疫力が低下すると
    ウイルスが暴れだします
  4. 帯状疱疹

    帯状疱疹
    ウイルスは、
    神経に沿って移動、
    皮膚に到達し、
    帯状疱疹を発症します

加齢、疲労、ストレスにより免疫力が低下した時に発症します

体の免疫力は、加齢、疲労、ストレスなど、誰にでもみられる、ごく日常的なことによって低下します。健康なときは免疫力が強いため、水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスの活動は抑えられていますが、免疫力が低下した時に再び活動、増殖し、帯状疱疹になると考えられます。

帯状疱疹は加齢、疲労、ストレスなど体の免疫力低下時に発症

帯状疱疹は50歳以上で増加し、
80歳までに日本人の約3人に1人が発症するといわれています

帯状疱疹の発症には、加齢が関係しており、日本人では、50代から帯状疱疹の発症率が高くなります。50代、60代、70代と発症率は増加し、80歳までに約3人に1人が帯状疱疹になるといわれています1)
帯状疱疹になった患者さん全体のうち、約7割が50歳以上です2)。しかし、残りの3割には20代~30代も含まれており、若い人でも発症する可能性があります。
なお、帯状疱疹発症率は年々増加しており、例えば60歳以上の年齢層では、1997年から2017年までの21年間で発症率が約1.5倍に増加していることが確認されています(宮崎県での調査より)3)

帯状疱疹の年代別発症率(2009~2015年)1)

帯状疱疹は50歳以上で発症率が急増。患者の7割が50歳以上

対象・方法:2009~2015年に宮崎県の43施設で帯状疱疹と診断された34,877例について、年代別、性別等に層別し、帯状疱疹の患者数、及び宮崎県の人口を母数として発症率を算出した。

1)Shiraki K. et al. Open Forum Infect Dis. 2017; 4(1): ofx007.より作図
2)外山望. 日臨皮会誌. 2019; 73(5): 186-189.
3)Toyama N, et al. J Dermatol Sci. 2018; 92(1): 89-96.

日本の成人のおよそ9割の方が
帯状疱疹の原因となるウイルスを持っているといわれています

子どもの頃に水ぼうそうにかかったことがある人だけでなく、かかっていても自覚がない人もおり、日本の成人のおよそ9割は体内に水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスを持っていると考えられています4)。そのため、このような方は帯状疱疹になる可能性があります。

日本の成人の9割以上が水痘・帯状疱疹ウイルスを保持

4)国立感染症研究所感染症疫学センター, IASR. 2018; 39(8): 129-130.

高齢者や免疫力が低下した方は、帯状疱疹の再発に注意が必要です

一度、帯状疱疹になると、水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスに対する免疫力があがるため、再発することはあまりないといわれています。ただし、高齢者や免疫力が著しく低下した方では再発する場合もあるので、注意が必要です。帯状疱疹にかかった人のうち数%は再発するといわれています5)

5)国立感染症研究所,帯状疱疹ワクチン ファクトシート,平成29(2017)年2月10日

 

帯状疱疹には、予防するワクチンがあります

帯状疱疹は、ワクチンで予防できます。
ワクチンには、感染症の原因となる細菌やウイルスの病原性を弱くしたものや、成分の一部を取り出したもの、また病原性を全くなくしたものがあります。ワクチンを体内に接種すると、そのワクチンの成分(細菌やウイルス)に対しての免疫力を高め、病気の発症や重症化を抑えることができます。
帯状疱疹の予防には、50歳以上の方を対象としたワクチンがあります。水ぼうそうにかかったことがある人は、すでに水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスに対する免疫を獲得していますが、年齢とともに弱まってしまうため、改めてワクチン接種を行い、免疫を強化することで帯状疱疹を予防します。予防接種は帯状疱疹を完全に防ぐものではありませんが、たとえ発症しても症状が軽くすむという報告があります1)

帯状疱疹と水ぼうそうは同じワクチンで予防できます

1)Oxman MN, et al. N Engl J Med. 2005; 352(22): 2271–2284.

 

帯状疱疹の予防接種の対象年齢は50歳以上です

帯状疱疹の発症率は50歳以上で増加し、50代、60代、70代と加齢に伴ってさらに増加します2)。また、帯状疱疹後神経痛(PHN)への移行リスクも加齢とともに高くなるといわれています3)。なお、帯状疱疹のワクチン接種の対象は、50歳以上の方です。
ワクチン接種により、水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスに対する免疫力を高めて、帯状疱疹の発症を予防することができます。また帯状疱疹を発症したとしても軽症ですみ、帯状疱疹後神経痛(PHN)などの後遺症の予防にもつながるとのデータもあります4)

※予防接種は帯状疱疹を完全に防ぐものではありません。

帯状疱疹の予防接種は50歳以上が対象となります

2)Shiraki K. et al. Open Forum Infect Dis. 2017; 4(1): ofx007.
3)Takao Y, et al. J Epidemiol. 2015; 25(10): 617-25.
4)Oxman MN, et al. N Engl J Med. 2005; 352(22): 2271–2284.

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